薪ストーブは、暖かさと癒しを提供するだけでなく、自然派ライフスタイルを象徴するアイテムとしても人気です。
しかし、設置にあたっては「内装制限」という法的な規制を正しく理解し、安全で快適な薪ストーブライフを実現することが重要です。
この記事でわかること
- 薪ストーブに関わる内装制限の概要
- 薪ストーブの使用を禁止する条例の有無
- 内装制限の適用範囲
- 薪ストーブの設置基準と離隔距離
- 告示225号と薪ストーブの関係
- 平屋における内装制限の特例

薪ストーブ×内装制限について解説
薪ストーブに関わる内装制限とは

薪ストーブは、火を使用する設備であるため、設置する部屋は「火気使用室」として扱われます。
これにより、建築基準法や消防法(火災予防条例)に基づく内装制限が適用され、壁や天井の仕上げ材、煙突の設置方法、換気設備などに関する規定が設けられています。これらの規制は、火災のリスクを低減し、安全な居住環境を確保するためのものです。
薪ストーブの使用を禁止する条例はあるのか

一般的に、薪ストーブの使用自体を全面的に禁止する条例は存在しません。
しかし、各自治体の火災予防条例や環境保護条例により、設置や使用に関する細かな規定が設けられている場合があります。例えば、煙突の高さや位置、近隣への煙の影響、薪の保管方法などが規制されていることがあります。そのため、薪ストーブの導入を検討する際には、事前にお住まいの自治体の条例を確認し、適切な手続きを行うことが重要です。
薪ストーブの内装制限の範囲

薪ストーブを設置する際の内装制限は、主に以下の点に関わります。
- 壁・天井の仕上げ材:建築基準法第35条の2により、火気使用室の壁や天井は、不燃材料や準不燃材料で仕上げる必要があります。具体的には、石膏ボードやモルタル、しっくいなどが該当します。ただし、平成21年の国土交通省告示第225号により、一定の条件下で内装制限が緩和される場合があります。
- 床材:床については、内装制限の対象外とされていますが、薪ストーブからの火の粉や熱による影響を考慮し、不燃材料で仕上げることが推奨されます。例えば、タイルや石材、コンクリートなどが適しています。
- 煙突の設置:煙突は、建築基準法施行令第115条に基づき、可燃物から一定の距離を保ち、不燃材料で覆う必要があります。また、煙突が小屋裏や天井裏を貫通する場合は、断熱二重煙突を使用するなどの対策が求められます。
薪ストーブの設置基準とは

薪ストーブの設置にあたっては、以下の基準を遵守する必要があります。
- 離隔距離の確保:薪ストーブ本体と周囲の可燃物との間には、一定の距離を確保する必要があります。一般的には、前方150cm以上、後方100cm以上、側方100cm以上、上方150cm以上とされています。
ただし、「火災予防上安全な距離として消防長が認める距離以上の距離」と明記されているため、はっきりした数値は住まいの地域で確認する必要があります。 - 炉台の設置:薪ストーブの下部には、不燃材料で作られた炉台を設置し、火の粉や熱から床を保護します。炉台のサイズや材質は、ストーブの大きさや設置場所に応じて適切に選定する必要があります。
- 遮熱板の設置:壁や天井が可燃材料で仕上げられている場合、薪ストーブとの間に遮熱板を設置し、熱による影響を軽減します。遮熱板は、不燃材料で作られ、壁から一定の距離を保って設置することが求められます。
- 換気設備の設置:薪ストーブを設置する部屋には、適切な換気設備を設け、新鮮な空気の供給と排気を確保する必要があります。これにより、不完全燃焼や一酸化炭素中毒のリスクを低減します。
告示225号とは

国土交通省告示第225号は、火気使用室の内装制限を適用しなくても良い条件を定めたものであり、薪ストーブ設置時にこれを活用することで、デザインや施工の自由度が増します。この告示によって、例えば換気の確保やストーブの位置に応じた工夫を施せば、内装仕上げの選択肢が広がる可能性があります。薪ストーブ愛好者やDIYで設置を検討する人々にとって、この告示の存在は知っておくべきポイントです。
具体的には、換気設備が適切に設置されていることや、周囲に可燃物がないような配慮がなされている場合、内装制限が緩和されることがあります。これにより、通常は不燃材料で仕上げる必要がある箇所も、一定の条件を満たせばより柔軟に対応できることになります。
平家の内装制限について

薪ストーブの設置基準は、建物の構造や高さに応じて変わることがあります。
特に平屋の場合、内装制限の適用に関する特例があります。平屋では火災時に避難経路が確保しやすいため、場合によっては規制がやや緩和されることもあります。ただし、これも各地域の条例や建築基準法の具体的な内容によります。
平屋での薪ストーブ設置の利点としては、煙突がシンプルな構造になりやすく、施工が比較的容易なことです。一方で、天井裏や小屋裏の煙突部分の断熱対策はしっかりと行う必要があります。断熱二重煙突を用いることで、火災リスクを軽減し、安全性を高めることが推奨されます。
薪ストーブ×内装制限 まとめ
まとめ

薪ストーブの設置は、快適で持続可能な生活を実現するための魅力的な選択肢ですが、その一方で正しい内装制限の知識が必要です。法律や条例に準じて安全な設置を行うことで、火災リスクを抑え、安心して薪ストーブライフを楽しむことができます。
特に重要なのは、各自治体の条例や建築基準法を確認し、それに基づいて適切な準備をすることです。告示225号の内容をうまく利用することで、内装制限を緩和し、デザイン面でも柔軟な対応が可能です。
読者の皆さんがこの記事を通じて、薪ストーブ設置に伴う内装制限を正しく理解し、安全かつ快適な薪ストーブライフを手に入れられることを願っています。規制を守りつつ、自然と共生する暖かい家づくりを始めましょう!

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