薪ストーブを使った暮らしは、暖かさだけでなく、炎を眺める癒やしの時間や自然とのつながりを楽しめる点が魅力です。そんな薪ストーブライフをさらに快適にするために重要なのが「薪の水分量」と「薪の種類」。これらを正しく理解して選ぶことで、燃焼効率がアップし、より安全で心地よいストーブライフを実現できます。この記事では、薪ストーブに適した薪の水分量や種類、さらに適切な乾燥方法まで詳しく解説します!
記事を読んで解ること
- 薪ストーブに適した薪の水分量
- 乾燥していない薪を使用するリスク
- 過度な乾燥の影響
- 薪の水分量の測定方法とおすすめの水分計
- 薪の適切な乾燥方法と期間
- 薪に適した木の種類と不向きな木の種類
- 針葉樹の薪の利用方法

薪ストーブ×薪の正しい水分量(含水率)は?おすすめの薪の種類も解説 について
薪ストーブに使える薪の水分量は?
薪ストーブで効率的かつ安全に燃焼させるためには、薪の水分量が鍵を握ります。一般的に、薪の理想的な含水率は20%以下とされています。この状態の薪は、燃焼効率が高く、煙やススが少なくなるため、薪ストーブ本体や煙突のメンテナンス頻度を減らすことができます。一方、伐採直後の生木は含水率が50%以上もあり、そのままでは燃えにくいだけでなく、煙やススの原因となるため使用には適しません。薪を適切に乾燥させて含水率を下げることで、クリーンで快適な薪ストーブ生活を楽しむことができます。また、使用前には水分計で含水率を測定し、20%以下であることを確認するのがおすすめです。

乾燥してない薪を使うとどうなる?
乾燥が不十分な薪(生木や湿った薪)を薪ストーブで使用すると、いくつかの深刻な問題が発生します。まず、乾燥していない薪は着火しにくく、燃焼効率が非常に低いため、ストーブを温めるまでに多くの時間がかかります。また、水分を多く含む薪は燃焼時に大量の煙を発生させ、その煙にはタール成分(クレオソート)が多く含まれています。これが煙突内に付着すると、煙道が狭くなり、排煙の効率が悪化します。さらに、タールの蓄積が進むと煙道火災のリスクも高まります。
また、湿った薪を使用するとストーブ内部のガラスが黒く汚れやすく、掃除の手間が増える点もデメリットです。さらに、室内に大量の煙が充満することで空気が悪化し、健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。快適かつ安全に薪ストーブを使うためには、薪はしっかりと乾燥させ、含水率が20%以下になっていることを確認することが重要です。適切な乾燥状態の薪を使用することで、燃焼効率が上がり、ストーブや煙突のメンテナンスも軽減されます。

乾燥しすぎ良い?
薪の乾燥は重要ですが、過度に乾燥した薪を使用することには注意が必要です。一般的に薪の理想的な含水率は20%前後とされていますが、これを大幅に下回る薪(極度に乾燥した薪)は、燃焼時に必要以上に高い温度を発生させる可能性があります。特に、鋳物製や特定の耐熱設計の薪ストーブでは、過剰な高温が原因でストーブ本体が歪む、部品が劣化するなどのトラブルにつながることがあります。
また、極端に乾燥した薪は燃焼が非常に早く進むため、暖房効率が下がる場合もあります。一度に多くの薪を追加する必要があるため、薪の消費量が増え、結果的にコストが高くなる可能性も考えられます。
適度に乾燥した薪を使用することで、燃焼効率やストーブの耐久性を保ちながら、安全で経済的な運用が可能です。薪の含水率をチェックし、過剰な乾燥状態の薪を避けることがポイントです。

薪の水分量の測り方は?おすすめの水分計
薪の水分量(含水率)を知ることは、安全で効率的な薪ストーブ運用に欠かせません。水分量を測る最も簡単な方法は、木材専用の水分計を使用することです。水分計には主に「ピンタイプ」と「ピンレスタイプ」があり、それぞれ特徴があります。ピンタイプは薪に細い針(ピン)を刺して測定するため、薪の内部まで水分を測れるのが特徴。一方、ピンレスタイプは非接触で測定可能なため、傷をつけずに確認できます。
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水分計を使う際は、薪の中心部分に近い箇所を測定するのがポイントです。これにより、表面だけでなく内部の水分量も正確に把握できます。また、測定結果が20%以下であれば、薪ストーブに適した状態といえます。正しい水分量を確認して、最適な薪ストーブ生活を送りましょう。
薪の乾燥は雨ざらしでいい?
薪の乾燥において、雨ざらしにするかどうかは意見が分かれるところです。薪を雨にさらすことで木が呼吸し、水分の循環を促進し、乾燥が進むと考えています。特に、夏場の伐採直後の木材は雨に当てることで内部の水分を蒸発させやすくなるとも言われています。
しかし、長期間の雨ざらしは薪にとって好ましくない影響を及ぼす可能性があります。特に梅雨時期の長雨に晒されると、薪が十分に乾燥できず、表面にぬめりやキノコが発生することがあります。キノコは薪の栄養分を吸収し、結果的に薪が腐敗してしまう原因となります。
また、薪を直接地面に置くと、地面からの湿気を吸収しやすくなり、乾燥が遅れるだけでなく、腐敗のリスクも高まります。そのため、薪は地面から離し、風通しの良い場所で乾燥させることが推奨されます。
さらに、薪の乾燥状態はその年の気候によっても左右されるため、常に薪の状態を観察し、適切な対策を講じることが重要です。特に梅雨前には簡易的な屋根を設置するなどして、長雨から薪を守る工夫が必要です。
結論として、薪の乾燥中に一時的に雨に当たることは避けられない場合もありますが、長期間の雨ざらしは薪の品質を低下させるリスクがあります。適切な乾燥を促進するためには、風通しの良い場所で保管し、必要に応じて屋根を設けるなどの対策を講じることが望ましいでしょう。

薪の乾燥に必要な期間
薪を十分に乾燥させるためには、最低6か月から1年程度、理想は2年の期間が必要です。この期間は木の種類や伐採時期、乾燥環境によって変わります。例えば、冬に伐採した木は成長が止まっているため含水率が低く、比較的短期間で乾燥します。一方、春や夏に伐採した木は水分を多く含むため、乾燥に時間がかかります。
乾燥の効率を上げるためには、薪を風通しの良い場所に積むことが重要です。薪をラックやパレットに置いて地面から浮かせ、空気の循環を確保しましょう。また、直射日光が当たる場所で乾燥させることで、水分が効率的に抜けます。適切に乾燥させた薪は、含水率20%以下になり、燃焼効率が高くなります。急がずに十分な時間を確保して、しっかりと乾燥させましょう。

薪に向いている木の種類は?
薪ストーブに使用する薪には、燃焼効率が良く、適度な火持ちがある木を選ぶことが重要です。一般的に、広葉樹が薪に適しているとされています。その理由は、密度が高く、火力が強く、長時間燃焼する特性があるからです。以下は薪に向いている代表的な木の種類です:
ナラ(オーク)
ナラは高密度で、非常に火持ちが良い木です。高い火力と持続時間を誇り、薪ストーブ愛好者の間で人気があります。乾燥には時間がかかりますが、その分、使用時の満足度は抜群です。

カシ(シイ・クヌギ)
カシはナラと同様に密度が高く、燃焼時の火力が強い木です。長時間燃えるので、夜間の使用にも適しています。ただし、硬い木材のため薪割りには力が必要です。

ブナ
ブナは安定した燃焼と優れた火力を持っています。燃焼中の匂いも少なく、煙も少ないため、快適な薪ストーブライフに最適です。

サクラ
サクラは火力がやや控えめですが、香りが良く、リラックス効果を得られる木です。雰囲気を楽しみたいときにおすすめです。

ケヤキ
ケヤキは硬くて燃えにくいイメージがありますが、十分に乾燥させれば火力が強く、持続時間も長いため、優秀な薪として利用できます。

薪に向いていない木の種類
薪ストーブでの使用に適さない木も存在します。これらの木を使用すると、燃焼効率が悪くなり、ストーブや煙突に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
関連記事:薪ストーブ×「竹」は使えるのか?
針葉樹(マツ、スギ、ヒノキなど)
針葉樹は燃えやすい反面、火力が強すぎて燃焼時間が短いのが特徴です。また、ヤニを多く含むため、燃焼中にタールが発生しやすく、煙突内にクレオソートが溜まりやすくなります。これが原因で煙突火災のリスクが高まるため、長時間の使用には不向きです。

湿った木や生木
乾燥していない木(生木)は水分を多く含むため、燃焼効率が非常に悪く、煙やススが大量に発生します。これにより、ストーブのガラスが黒く汚れるだけでなく、煙突の詰まりや故障の原因になります。

腐った木や虫食いの木
腐敗が進んだ木や虫に食われた木は、密度が低く、燃焼時の火力が不安定です。また、燃焼中に悪臭を発生させる場合があります。

塗装された木や加工木材
家具の廃材や塗装された木材は、燃焼中に有害な化学物質を放出することがあります。これらは健康や環境に悪影響を及ぼすため、絶対に使用しないでください。

薪ストーブは針葉樹も薪に使えるよう進化している?
かつては「薪ストーブには広葉樹の薪が最適」とされてきましたが、近年では針葉樹も効率的に利用できるように設計された薪ストーブが登場しています。これにより、針葉樹の薪を使うハードルが下がり、燃料の選択肢が広がりました。
関連記事:薪ストーブ×PANADERO(パナデロ) 評判は?シリーズも紹介!

針葉樹が薪に適さない理由
針葉樹はヤニ(樹脂)を多く含み、燃焼時に高温を発生させやすい一方で、火持ちが悪く煙やススが多くなりがちです。また、ヤニが原因でタール(クレオソート)が発生し、煙突の詰まりや火災リスクを高めるため、従来は広葉樹の方が優先されていました。
針葉樹に対応した薪ストーブの特徴
現在の薪ストーブは技術が進化し、針葉樹特有の特性を考慮した設計がされています。例えば、高温で燃焼させる二次燃焼機能や空気を効果的にコントロールするエアフローシステムを備えたストーブでは、針葉樹のヤニが燃焼中に効率よく燃やされ、煙やススが少なくなります。また、クレオソートの発生を抑えるための工夫が施されているモデルも増えています。
針葉樹を使う際の注意点
針葉樹を薪に使う場合、しっかりと乾燥させることが非常に重要です。針葉樹は水分を多く含むため、乾燥が不十分だと煙やススがさらに増加します。含水率20%以下まで乾燥させた薪を使えば、広葉樹に近い燃焼効率が得られます。
広葉樹と針葉樹を組み合わせる方法
広葉樹と針葉樹を組み合わせて使用することで、それぞれのメリットを活かすことも可能です。着火時に針葉樹を使い、その後広葉樹で持続的に燃焼させるという方法は特に効果的です。

薪ストーブ×薪の正しい水分量(含水率)は?おすすめの薪の種類も解説 まとめ
まとめ
薪ストーブを快適かつ安全に楽しむためには、薪の水分量や種類を正しく選び、適切に管理することが重要です。理想的な薪の含水率は20%以下で、広葉樹を中心に、燃焼効率が高く火持ちの良い木を選ぶのがポイントです。一方、乾燥が不十分な薪や、過度に乾燥した薪、針葉樹などは特性を理解して使う必要があります。特に針葉樹は焚き付け用として活用することで、うまくストーブライフに取り入れることが可能です。
また、薪の乾燥には6か月から1年程度の期間が必要で、雨ざらしを避け、風通しの良い場所でしっかり乾燥させることが大切です。水分計を活用して薪の状態を確認しながら、適切なタイミングで使用しましょう。薪ストーブは炎の温かさと癒やしを提供してくれる素晴らしい暖房器具です。薪選びと管理に少し手間をかけることで、より豊かな薪ストーブライフを楽しむことができます。
この記事を参考に、ぜひ理想の薪ストーブライフを実現してください。快適な暖かさとともに、心豊かなひとときをお過ごしください!


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